中国ショッピングモール来館者数ランキング【2026年9月】

本文の要点

  • 2026年9月、中国の来館者数上位100商業施設の合計来館者数は前月比15.6%減少しました。一方、無錫・南寧・南昌の掲載11施設はすべて増加しています。
  • 同じ増加でも、南寧は夏季の低水準からの回復、無錫は直近の高水準に近づく動き、南昌は施設ごとに伸び率が異なる回復と、それぞれ特徴があります。
  • 展示会、市街地のマーケット、スポーツイベントなど、商業施設の外にも来訪のきっかけが生まれています。街のイベントと施設側の企画を結び付ける取り組みが、集客を考えるうえでの視点になります。

夏休みが終わり、ショッピングモールのにぎわいも徐々に落ち着いてきました。

Meritcoによる実店舗小売データ分析では、2026年9月、中国の来館者数上位100商業施設の合計来館者数は8月比で15.6%減少しました。100施設のうち82施設が減少し、増加したのは18施設です。

北京、上海、南京などでは、多くの人気施設で来館者数が減少しました。しかし、今回のランキングでは、無錫、南寧、南昌が異なる動きを見せています。3都市からランクインした計11施設は、9月の来館者数がすべて前月を上回りました。

同じように夏休みが終わったにもかかわらず、なぜこの3都市の商業施設では、にぎわいが増したのでしょうか。

9月の来館者数ランキングに、どのような変化があったのか

9月の首位は、引き続き北京朝陽合生匯でした。月間の延べ来館者数は490.9万人。三里屯太古里が455.4万人で2位となり、南京城北万象匯、南京万象天地がそれぞれ3位、4位、成都IFSが5位に続きます。

2026年9月 中国商業施設の来館者数トップ10

2026年9月の中国商業施設の来館者数トップ10と前月比。増加は成都IFSと鄭州二七万象城の2施設で、鄭州二七万象城が30.7%増と最大の伸び。

上位施設は引き続き多くの来館者を集めていますが、8月と比べると、全体のにぎわいは明らかに落ち着いています。

北京の掲載14施設の合計来館者数は前月比24.1%減、上海の18施設は23.8%減となり、両都市とも掲載施設すべてで前月を下回りました。

8月の来館者数ランキングと集客動向では、夏休み期間のにぎわいと施設ごとの違いを取り上げました。8月は、家族旅行や学生の余暇、買い物などの需要が集中する時期です。9月に入り、学校や仕事を中心とした日常に戻るにつれて、商業施設の来館者数も落ち着きを見せています。

ただし、すべての都市が同じ動きを示したわけではありません。

無錫の掲載5施設の合計来館者数は前月比5.0%増、南寧の3施設は22.2%増、南昌の3施設は11.6%増となりました。

3都市では、一つの人気施設だけが全体を押し上げたのではなく、掲載施設がすべて増加しています。特に南寧では、3施設とも前月比20%を超える伸びとなりました。

多くの人気施設が夏休みのピークから減少するなか、この3都市では何が起きていたのでしょうか。

同じ来館者数の増加でも、3都市の状況は異なる

南寧:3施設がそろって回復、都市イベントが集中する時期と重なる

南寧の掲載3施設は、9月に近い伸び率を示しました。

朝陽印象城の延べ来館者数は291.9万人で、前月比23.4%増。会展航洋城は248.9万人で22.4%増、江南万達広場は270.4万人で20.7%増となっています。

異なる商業エリアに立地する3施設で、同時に20%を超える来館者数の増加が見られました。この変化は、南寧で大規模な都市イベントが集中していた時期と重なります。

9月17日から21日には、第23回中国・ASEAN博覧会が開催されました。総展示面積は17万平方メートルで、桂林の分会場を含む3会場の延べ来場者数は35万人を超えました。

同時期には、消費促進キャンペーン「広西国際消費シーズン」も始まりました。展示会や観光、買い物を結び付け、チケット提示による特典や訪中客向けの利便性向上策などを通じて、展示会に集まる人々を街での消費につなげようとする取り組みです。

商業施設側も、自ら話題をつくっていました。

朝陽印象城では、9月17日から20日まで、「世界奶茶・宝蔵広西」を掲げた新茶飲料のサプライチェーン商談・交流イベントが開催されました。ブランド展示、商品体験、業界交流に、一般消費者向けの企画を組み合わせたものです。

消費者にとっては、ミルクティーをテーマにしたエリアを歩き、新商品を試し、会場の参加型企画を楽しむという、具体的な来館理由になります。

大型展示会がビジネス関係者や専門分野の来場者を集める一方、商業施設は日常の楽しみに近いテーマで消費者を呼び込む。二つのタイプのイベントが同じ時期に重なり、9月の南寧の商業エリアをにぎわせていました。

22.2%という来館者数の増加には、もう一つの背景があります。

南寧の掲載3施設の合計来館者数は、その前の2カ月間、相対的に低い水準が続いていました。9月は8月から大きく回復したものの、2026年3月比では3.1%増にとどまり、直近11カ月の観測期間における最高値を7.6%下回っています。

南寧の9月は、夏季の低水準を経て3施設がそろって回復した時期に、展示会や施設独自のイベントによるにぎわいが重なった局面です。

朝陽印象城の茶飲料イベントからも、商業施設が街への来訪を受け身で待つだけでなく、自ら地域の消費の話題に加わっていたことが分かります。

無錫:増加率は大きくないものの、直近の高水準に近づく

無錫の掲載5施設は、9月の合計延べ来館者数が1,425.9万人となり、前月比5.0%増加しました。施設別では、八佰伴南門店が15.4%増、蘇寧広場人民路店が7.4%増、無錫万象城が1.2%増、無錫薈聚が0.9%増となっています。

期間を広げて見ると、無錫の特徴がより明確になります。

9月の合計来館者数は3月比で12.8%増加し、直近11カ月の最高値との差は3.9%まで縮まりました。単に低い水準から反発したのではなく、最近の高水準に近づいています。

9月の無錫では、市内各地で「太湖ショッピングフェスティバル・金秋恵購」、消費補助、商業エリアごとのイベントが展開されました。

なかでも注目を集めたのが、中山路で開かれたマーケット「時集」です。

トレンドブランドやテーマ型ポップアップ、参加型の体験を組み合わせ、都市の道路そのものを買い物や交流の場に変える企画でした。地元メディア「無錫観察」によると、初日の来訪者数は延べ18万人を超えました。

周辺の商業施設も、マーケットの来場者が通り過ぎるのを待っていたわけではありません。

中山路沿いの大東方百貨は、周年企画と「時集」を連動させました。消費クーポンやブランド企画、営業時間の延長などを通じて、マーケットと百貨店の双方へ人が行き来する仕組みをつくっています。

公開報道によると、イベント期間の2日間、大東方百貨の来館者数は前年の中秋節期間比で130%増、売上高は80%増となりました。

無錫万象城も「月亮巡遊・錫港快閃」などの季節イベントを展開し、無錫薈聚では参加型のテーマ企画やブランドイベントが行われました。

無錫の9月で注目したいのは、都市の公共空間と商業施設の間に、より直接的な連携が生まれている点です。

マーケット自体が外出の目的になれば、沿道の商業施設はブランドやイベント、買い物特典を通じて、その外出に関わることができます。消費者も、施設を出た後に同じ商業エリアで時間を過ごし続けられます。

これらの事例は、個々の商業施設の販促にとどまらない取り組みを示しています。街が話題となるイベントをつくり、同じエリアの商業施設がそれぞれ参加するという形です。

南昌:来館者数は回復する一方、施設間の差が目立つ

南寧のそろった大幅増、無錫の比較的緩やかな増加に対し、南昌では別の特徴が見られます。

南昌T16ショッピングセンターは、9月の延べ来館者数が368.7万人で、前月比16.1%増となりました。紅谷灘万達広場は247.2万人で15.5%増。一方、恒茂夢時代広場の増加率は3.2%にとどまっています。

3施設とも増加していますが、その幅には明確な違いがあります。

9月の南昌でも、注目される都市イベントがありました。

9月12日、紅谷灘区の秋水広場では、ドローンショー「星河万里・遇見南昌」が始まりました。夜間のテクノロジーを活用した演出で、市民や観光客を引き付ける企画です。同日、紅谷灘万達広場では、江西服装学院と共同で「潮南時装周・FASHION SOUTH(南昌)」が開催されました。

一方は都市の公共空間、もう一方は商業施設を舞台にしたイベントです。二つの企画は、紅谷灘エリアに新たな余暇や文化体験を加えました。

ファッションイベントは、紅谷灘万達広場が消費者と直接接点を持てる施設独自の企画です。ドローンショーは、周辺エリアへ夜に出かける新たな理由になっています。

南昌の9月は、施設ごとの違いを伴いながら来館者数が回復した局面として捉えられます。

無錫・南寧・南昌の対象商業施設における来館者数の推移(2025年11月〜2026年9月)。9月は3都市とも前月比で増加し、無錫は期間最高値に接近。南昌は3月の水準を下回る。

商業施設の外で、誰が新たな来訪理由をつくっているのか

3都市を並べると、一つの変化が見えてきます。

これまでショッピングモールの人気を分析する際は、どのブランドを誘致したか、地域初出店の店舗をいくつ導入したか、どのような販促を行ったか、空間を改装したかなど、施設内部に目が向きがちでした。

しかし、新たな集客の機会は、商業施設の外にも生まれています。

展示会、スポーツイベント、市街地のマーケット、夜間のショー。消費者が一つの催しを目的にある地域を訪れたとき、近隣の商業施設も、その外出の一部になれます。

2025年9月、南寧の江南万達広場では、サイクリングイベント「環広西体育消費節・微笑騎行」が開催されました。600人余りの参加者が施設を出発し、都市の名所を巡る33キロメートルのコースを走りました。施設側は同時に、スポーツブランド、飲食店、映画館などの割引を展開しています。

人民網によると、イベント期間中の江南万達広場の来館者数は前年同期比29.1%増、売上高は12.27%増となりました。

主に都市の道路を舞台とするサイクリングでも、商業施設を出発地点とし、買い物や飲食の企画を組み合わせることで、施設自体がイベント体験の一部になります。

2024年に上海で開催された、アクションスポーツの国際大会「FISE」も、同様の事例です。

大会は徐匯浜江エリアで開催され、周辺ではカルチャーやエンターテインメント、文化展示、飲食などの企画が展開されました。公開資料によると、大会開催中の週末に徐匯浜江エリアを訪れた人は延べ3万人を超え、周辺商業施設の週末の1日平均来館者数は約4万人、1日平均売上高は約370万元となりました。

二つの事例に共通するのは、商業施設と都市イベントの間に具体的な接点があることです。施設がイベント会場になる場合もあれば、周辺の空間やサービスを通じて、都市規模の催しに関わる場合もあります。

商業施設にとって、これらの事例は集客の新たな考え方を示しています。消費者に足を運んでもらうための取り組みは、館内のブランドや業態、販促だけに限られません。

街でスポーツイベントやマーケット、展示会が開かれるとき、商業施設はイベントの出発地点にも、食事や買い物を楽しむ目的地にも、街を巡る途中の立ち寄り先にもなれます。

9月の無錫、南寧、南昌の来館者数回復には、それぞれ異なる背景がありました。それでも、各地の商業活動は一つの視点を示しています。ショッピングモールの魅力は、その施設がある商業エリアのイベントや体験と、より密接に結び付いているということです。

商業施設を訪れる理由は、ときに、その扉の外から生まれています。


※データ・分析について

本記事の来館者数データは、Meritcoの実店舗小売データ分析に基づきます。来館者数や店舗当たりの売上高、業績予測、カテゴリー構成、店舗立地の分析に加え、ブランドの出退店動向や商圏内の競合分布などを把握し、店舗運営の改善、競合調査、商業施設の運営分析を支援します。ご関心のある地域・ブランドでの活用をご検討の方は、無料トライアルをお申し込みください。

著者について

Claire|Business Research Editor

Claire | Business Research Editor

B2Bコンテンツマーケティングに5年以上従事し、中国・アジア市場に関するビジネスインサイトの企画・編集・執筆を担当。データと分析フレームワークをもとに、市場動向、競争環境、ブランド戦略、消費者の変化を読み解いています。